相続放棄をすると遺族年金は受け取れませんか?
1 相続放棄と遺族年金の関係
相続放棄をすると、借金を相続することはなくなりますが、不動産や預貯金等の、プラスの財産を相続することもできません。
このように、「プラスの財産を相続できない」という事実から、「遺族年金も受け取ることができないのではないか」というイメージを持たれる方もいらっしゃいます。
しかし、相続放棄をしたとしても、遺族年金の受給資格を失うことはありません。
なぜ、相続放棄をしても、遺族年金を受け取ることができるのかについて、ご説明します。
2 遺族年金とは何か
同一世帯の中で、主に収入を得ていた方が亡くなった場合、ご遺族の方は、その後の生活が苦しくなります。
特に、共働き世帯であればまだしも、夫婦の一方のみが働いているようなケースで、その働いている方が亡くなった場合、残されたご遺族の方は、収入がゼロになってしまいます。
遺族年金は、そのような方を支援するための制度です。
3 遺族年金の種類
遺族年金には、2種類あります。
1つは、亡くなった方が、国民年金に加入していた場合に支給される、遺族基礎年金です。
亡くなった方の収入で生活をしていた子どもか、子どもがいる配偶者に対して、支給されます。
もう1つは、遺族厚生年金です。
遺族厚生年金は、亡くなった方が、厚生年金に加入していた場合に、支給されます。
遺族厚生年金を受け取ることができる人には、優劣が定められています。
第1順位は、亡くなった方の配偶者と、亡くなった方の子どもです。
第2順位は、亡くなった方の両親です。
第3順位は孫で、第4順位が祖父母です。
つまり、亡くなった方から見て、生活を支えられていることが多いであろう方が、優先的に遺族厚生年金を受け取ることができます。
4 相続放棄をしても、遺族年金を受け取ることができる理由
相続放棄によって、受け取ることができなくなるのは、あくまで亡くなった方が所有していた財産です。
遺族年金は、亡くなった方の遺族を支えるために、遺族の方に支給されるものであって、亡くなった方に支給されるものではありません。
つまり、遺族年金は、遺産ではありません。
そのため、相続放棄をしても、遺族年金を受け取ることができます。