遺留分と生前贈与に関するQ&A
亡くなった親が多額の生前贈与をしていました。遺留分の計算で生前贈与は考慮されますか?
亡くなった方が行った生前贈与は、遺留分の計算で考慮される場合があります。
ただし、全ての生前贈与が遺留分の計算で考慮されるわけではありません。
生前贈与の時期や、生前贈与の金額によって、計算が左右されます。
遺留分の計算では、どの時期の生前贈与が考慮されますか?
相続開始前の1年間にされた贈与が、計算に影響を与えます。
遺留分を計算する際は、まず「遺産の総額」を確定させる必要があります。
「遺産の総額」には、亡くなった時に存在した財産に、相続開始の1年前に贈与した財産も含まれます。
相続開始の1年以上前にされた贈与は、遺留分の計算に影響を与えないのですか?
遺留分の侵害が発生することを知ってなされた贈与は、計算に影響を与えます。
生前贈与をする際に、「この贈与によって、遺留分の侵害が発生する」ということを知っていた場合、この生前贈与は、「遺産の総額」に含まれます。
ただし、亡くなった方はもちろん、贈与を受けた方も「この贈与によって、遺留分の侵害が発生する」ということを知っている必要があります。
もっとも、相続人に対する生前贈与は、特別な扱いがなされています。
相続人に対する生前贈与は、どういった点が特別なのですか?
相続人に対し、生前贈与を行った場合、それが特別受益に該当し、かつ相続開始前の10年間に贈与がなされた場合は、「遺産の総額」に含まれます。
特定の相続人だけが多くの生前贈与を受けた場合、それは遺産の前渡しと言えるため、相続人間の平等を図るために、特別な扱いがなされています。
特別受益とは何ですか?
遺産の前渡しと言える程度の、贈与を指します。
つまり、本来は亡くなってから遺産を分けるのが通常ですが、生前のうちに特定の相続人にだけ、遺産を分けておいたと言えるような、それなりに多額の贈与が特別受益と認められます。
単純なお小遣いや、扶養義務に基づく生活支援などは、特別受益に該当しません。